高度僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術後に左房血栓が出現した2例

伊賀幹二、*山下宗人、*高橋秀一、**田畑隆文、**三木成仁、堀健次郎、松村忠史、玄博允、

抄録

罹患期間の長い高度僧帽弁閉鎖不全症に対する弁形成術後、左房の大きさは減少したにもかかわらず、術後経食道心エコー図により左房血栓の出現を観察した2例を提示した。術後の左房内血液は高度僧帽弁閉鎖不全の消失のため術前に比してより停滞し左房血栓を形成したものと思われた。高度僧帽弁閉鎖不全症に対して僧帽弁形成術が施行できても、罹患期間が長く、心房細動で左房拡大が残存する場合は、左心耳の縫縮術や術後の抗凝固剤の投与を考慮する必要があると考えられた。